【日本人の配偶者等】更新①:離婚なしでも審査は厳しい?長期の在留期間を得るコツ
- しずか 若林
- 2 日前
- 読了時間: 4分

皆さんこんにちは。行政書士の若林しずかです。
「日本人の配偶者等」の在留資格をお持ちの方は、婚姻関係さえ継続していれば(離婚していなければ)簡単に更新許可がおりると思っていませんか?
実は、在留期間の更新審査は、「在留資格を最初に取得した時の審査ポイントを、引き続き満たしているか」を改めてチェックする手続きです。
たとえ離婚していなくても、出入国在留管理庁(入管)は、法律上の婚姻関係が続いているという形式的な面だけでなく、「夫婦としての実態ある共同生活が、きちんと継続しているか」、そして「日本で安定した生活が送れているか」という点を、更新のたびに厳しく確認しているのです。
今回は、婚姻関係が続いている方の更新申請に焦点を当て、毎回審査される重要なポイントと、より長い在留期間(3年や5年)を得るためのコツを解説します。
「日本人の配偶者等」資格更新、審査の3大ポイント
① 婚姻の「実態」は継続しているか?
審査で最も重要視されるのが、この「婚姻の実態」です。役所に婚姻届を提出しているという法律上の事実だけでなく、夫婦として社会通念上、当たり前の共同生活を送っているかどうかが問われます。
入管は、以下のような点から総合的に判断します。
同居しているか:正当な理由(病気治療や単身赴任など)なく長期間別居していると、婚姻の実態を疑われる大きな要因となります。
生計を共にしているか:家計を一つにして、お互いに経済的に支え合っているか。
夫婦間のコミュニケーションは十分か:日常的な交流があるか。
申請時には、これらの実態を証明するために、スナップ写真や家族との交流を示す資料、住民票、通話記録などの提出を求められることがあります。また場合によっては入管から電話がかかってくるなど、実地調査が入ることもあります。
② 世帯の「生計」は安定しているか?
次に重要なのが、夫婦が世帯として、日本で安定した生活を継続していけるかという経済的な基盤です。
これは、外国人配偶者か日本人配偶者、どちらか一方の収入で判断されるのではなく、夫婦の収入を合算した「世帯収入」で審査されます。どちらかが転職や退職をしたことで世帯収入が大きく減少した場合は、預貯金で生活を補えることなどを証明し、審査官の懸念を払拭する必要があります。
③ 日本での「素行」は良好か?
これは、日本で生活する一員としての基本的なルールを守れているか、という点です。
納税・公的保険料の納付:ご自身の、また扶養者である日本人配偶者の住民税や健康保険料などが、きちんと納付されているかは厳しくチェックされます。
法律・交通違反: 犯罪歴はもちろん、繰り返しの交通違反も「素行不良」と判断され、審査に影響します。
入管法上の届出義務: 引っ越しをした際の住所変更の届出などを、期限内にきちんと行っているか。
プラスアルファ:より長い在留期間(3年・5年)を目指すには?
「日本人の配偶者等」の在留期間は「5年、3年、1年又は6月」と定められていますが、誰もが最初から長い期間をもらえるわけではありません。より長い在留期間を得るための鍵は、「日本への定着性と安定性」を具体的にアピールすることです。
以下のようなプラスの要素があれば、申請書や理由書で積極的に説明し、立証資料を添付しましょう。
夫婦の間に子供が生まれた(出生届記載事項証明書など)
日本で住宅を購入した(不動産の登記事項証明書など)
夫婦どちらかが安定した職に長く就いている(在職証明書など)
世帯収入が安定、または上昇している(課税・納税証明書など)
外国人配偶者の日本語能力が向上した(日本語能力試験の合格証など)
これらの要素は、「この夫婦は、今後も日本で安定して生活していく基盤と意思がある」という強力な証拠となり、入管からの信頼を得て、より長い在留期間の許可に繋がる可能性が高まります。
まとめ
ご覧いただいた通り、更新時に審査される3つのポイントは、初めて「日本人の配偶者等」の在留資格を申請した時と同様です。更新とは、この重要な要件を今もクリアし続けていることを、改めて証明する手続きに他なりません。
「安定した婚姻実態」と「安定した世帯の生計」、そして「善良な在留状況」の3つが揃って初めて、スムーズな更新と長期の在留期間が見えてくるのです。
【文責:行政書士わかばやし事務所 代表 若林 しずか】