【会社の義務】在留カードの確認、見るべき5つの重要ポイント【不法就労を防ぐ】
- しずか 若林
- 14 分前
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皆さんこんにちは。行政書士の若林しずかです。
外国人材の採用が活発になる中、企業の人事・労務担当者様にとって、コンプライアンス遵守はこれまで以上に重要な経営課題となっています。特に、外国人従業員を雇用する際に法律で定められた企業の義務として、絶対に欠かせない手続きが「在留カードの確認」です。
この確認を怠ったり、不正確な方法で行ったりすると、企業が「不法就労助長罪」に問われるなど、深刻な事態を招く可能性があります。
今回は、企業の法的リスクを回避するために、在留カードのどこを、どのように確認すべきか、「5つの重要チェックポイント」に絞って具体的に解説します。
在留カードで確認すべき5つの重要ポイント
ポイント①:「在留資格」の種類

まず最も基本となるのが、カード表面の左側に記載されている「在留資格」の種類です。
これは、その外国人が日本でどのような活動を行うことを許可されているかを示す、最も重要な情報です。「技術・人文知識・国際業務」であれば専門職としての就労、「留学」であれば学業が本来の活動となります。採用しようとしている職務内容が、この在留資格で許可された活動の範囲内であるかを確認する第一歩となります。
ポイント②:「在留期間(満了日)」

在留資格には必ず有効期限があります。カード表面の「在留期間(満了日)」を確認し、雇用する時点で在留期間が有効であることを必ずチェックしてください。
また、この日付を人事情報として控え、期限が近づいてきたら本人に更新手続きを促すなど、在留期間の管理をサポートする体制を整えることが望ましいでしょう。
ポイント③:「就労制限の有無」

カード表面の中央部にある「就労制限の有無」の欄は、不法就労を防ぐ上で極めて重要な項目です。ここには、以下のような記載があります。
「就労制限なし」: 「永住者」や「日本人の配偶者等」など、活動に制限がない在留資格です。原則としてどのような職種でも雇用できます。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」: 「技術・人文知識・国際業務」など、許可された専門分野でのみ就労が可能です。
「指定書により指定された就労活動のみ可」: 「特定活動」などで、個別に許可された活動内容・勤務先でのみ就労が可能です。指定書はパスポートに貼られます。
「就労不可」: 「留学」や「家族滞在」など、原則として就労が認められていない在留資格です。この場合、次のポイント④が重要になります。
ポイント④:カード裏面の「資格外活動許可欄」

ポイント③で「就労不可」と記載されていても、カードの裏面にある「資格外活動許可欄」に許可スタンプがなければ、アルバイトとして雇用することはできません。
特に学生アルバイトや家族滞在の方を雇用する際は、裏面のスタンプで「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」といった文言を確認することが絶対条件です。この時間を超過して働かせることはできません。
なお、留学生の長期休暇中の例外規定や、家族滞在の方の資格外活動については、それぞれに異なる注意点がありますので、別の記事で詳しく解説します。
ポイント⑤:カードの「真正性」と企業の「確認義務」
最後に、提示された在留カードが偽造・変造されたものでないかを確認する視点も重要です。在留カードにはICチップが埋め込まれており、偽造防止のための様々な技術が用いられています。
不審な点がある場合はもちろん、日常的な確認業務においても、カードの真正性に注意を払う必要があります。万が一、雇用した外国人が偽造カードを使用していた場合、企業側が「確認義務を怠った」と判断され、不法就労助長罪に問われるリスクが高まります。
在留カードが本物であるかを確認する具体的な方法や、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリケーション」の活用法については、別の記事で詳しく解説する予定です。
まとめ
外国人材を雇用する際の在留カードの確認は、単なる形式的な手続きではありません。
在留資格:仕事内容と一致しているか
在留期間:有効期限内であるか
就労制限の有無:許可された働き方か
裏面の資格外活動許可:アルバイト雇用の場合は必須
カードの真正性:偽造カードではないか
この5つのポイントを確実にチェックすることが、企業を法的なリスクから守り、適正な外国人雇用を実現するための第一歩です。採用時には、必ず複数名でダブルチェックするなど、社内ルールを定めて徹底することをお勧めします。
【文責:行政書士わかばやし事務所 代表 若林 しずか】