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【基本知識】「在留カード」と「パスポート」の役割の違い。有効期限が切れたらどうなる?

  • 執筆者の写真: しずか 若林
    しずか 若林
  • 7月2日
  • 読了時間: 5分



「人事ファイルを確認していたら、外国人従業員Aさんのパスポートの有効期限が、先月で切れていることに気づいた!在留カードの期限はまだ先だけど、このままで大丈夫なのだろうか…?」


こんにちは!行政書士の若林しずかです。 従業員の重要な書類の期限切れに気づくと、焦ってしまいますよね。特に、それがパスポートとなると、「在留資格も無効になってしまうのでは?」と、最悪の事態を想像してしまうかもしれません。

今回は、この「在留カード」と「パスポート」の法的な役割の違い、そして、パスポートの有効期限が切れてしまった場合に、なぜ問題となるのか、その本質的な理由と例外的な対応について解説します。


【大原則】「在留カード」と「パスポート」は、発行元も役割も全くの別物!


まず、この2つの書類の役割の違いを理解することが重要です。

  • パスポート(旅券):

    • 発行元: その人の母国の政府

    • 役割: その人の**「国籍」と「身分」**を、国際的に証明するための、世界共通のIDカードです。

  • 在留カード:

    • 発行元: 日本の法務省(出入国在留管理庁)

    • 役割: 日本に中長期間在留する許可を証明するものです。これには2つの重要な期限が関わります。

      1. 在留期間の満了日: 在留資格そのものが有効な期限日です。日本に滞在できる最終日を指します。

      2. 在留カードの有効期間の満了日: 物理的なカード自体の有効期限日です。多くの場合、在留期間の満了日と同じですが、「永住者」の方や16歳未満の方などは、異なる日付になります。

日本での滞在の合法性は、在留カードに記載された「在留期間の満了日」によって決まります。したがって、パスポートの期限が切れても、それだけで直ちに在留資格が無効になったり、オーバーステイ(不法残留)になったりすることはありません。


なぜ有効なパスポートが必要なのか?問題点と例外


「違法じゃないなら、まあいいか」とお考えになるかもしれませんが、そのままにしておくのは、様々な手続き上の観点からお勧めできません。有効なパスポートがない場合、主に以下の2つの問題が発生します。


問題1:海外への出国・再入国が原則としてできなくなります


有効期限が切れたパスポートでは、出入国審査で有効な渡航文書として認められないため、海外出張や母国への一時帰国、そして日本への再入国が困難になります。


問題2:在留資格の更新・変更申請に、大きな支障が出ます【重要】


これが、日本で安定して生活を続ける上で、特に注意すべき問題です。 出入国在留管理庁(入管)は、在留資格の更新や変更の申請を審査するにあたり、申請者が有効なパスポートを所持していることを前提としています。

特に入管の窓口で申請する場合、法律(施行規則)で有効な旅券(パスポート)の提示が義務付けられています。 期限が切れていれば、申請書そのものを受け取ってもらえません。

オンライン申請の場合は、申請時にパスポートを物理的に提示する必要はありません。しかし、申請情報として有効なパスポートの番号と有効期限を入力することが、申請が受理される大前提です。期限切れのパスポート情報で申請しても、身分事項の最も基本的な証明ができないため、申請は受理されないか、後日、有効なパスポートの提出を求められ、結果として審査がストップしてしまいます。

つまり、どちらの申請方法であっても、有効なパスポートがなければ、在留資格の更新ができなくなり、いずれ在留資格を失ってしまうのです。

【例外的な対応:パスポートを提示できない場合】 審査要領によれば、パスポートを提示することができない場合でも、「その理由を記載した理由書」を提出することで、申請が受理される道が残されています。

  • 考えられる「理由」の例:

    • 母国の政情不安により、大使館でのパスポート更新手続きが停止している。

    • 紛失・盗難に遭い、現在、警察への届出と大使館への再発行手続き中である。

    • 難民認定申請中であるなど、そもそもパスポートを所持できない立場にある。

ただし、これはあくまで例外的な措置です。原則は、有効なパスポートを用意した上で申請を行うことです。


正しい手続き:自国の大使館・総領事館で「更新」する


パスポートの更新手続きは、日本の役所や入管ではなく、日本にある、ご自身の国籍国の大使館・総領事館で行います。国によって手続きは異なりますが、数週間から数ヶ月かかることもありますので、早めの準備が必要です。


会社としてできるサポート


会社としてできる、最も効果的なサポートは「予防」です。

  • 期限管理: 在留カードの期限だけでなく、外国人従業員のパスポートの有効期限も、人事データとして管理しておきましょう。

  • 事前リマインド: パスポートの有効期限の半年前〜1年前になったら、「そろそろパスポートの更新手続きが必要ですよ」と、従業員に声をかけてあげましょう。

  • 平日の休暇取得への配慮: 大使館は、基本的に平日の昼間しか開いていません。更新手続きのために、有給休暇などを取得しやすいよう、配慮してあげると非常に喜ばれます。

従業員が安心して日本で働き続けるためには、在留カードとパスポート、この両輪が常に有効であることが不可欠です。会社として、この両方の期限管理をサポートしてあげることが、真の定着支援に繋がります。

【文責:行政書士わかばやし事務所 代表 若林 しずか】

 
 

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