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【留学生アルバイトの雇用】企業が知るべき「資格外活動」のルールと注意点

  • 執筆者の写真: しずか 若林
    しずか 若林
  • 7月18日
  • 読了時間: 4分

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皆さんこんにちは。行政書士の若林しずかです。

今回のコンプライアンスシリーズ第2回は、「留学生のアルバイト雇用」に焦点を当てます。意欲あふれる留学生は多くの企業にとって貴重な労働力ですが、その雇用には、一般の日本人アルバイトとは異なる、企業側の特別な注意義務が伴います。

「在留カードの資格外活動許可は確認したから大丈夫」という思い込みが、知らず知らずのうちに法律違反に繋がり、企業が重い責任を問われるケースも少なくありません。今回は、留学生を雇用する企業が必ず遵守すべきルールと、その確認方法について解説します。


大前提:「在籍」と「活動実態」がなければ就労はできない


留学生に与えられる資格外活動許可は、その学生が「留学生として日本で活動していること」が絶対的な大前提です。この大前提には、二つの側面があります。

  1. 形式的な「在籍」 資格外活動許可は、「留学」の在留資格に付随するものです。もし、その学生が学校を卒業、退学、あるいは除籍された場合、「留学」の在留資格の根拠を失うため、資格外活動許可もその時点で自動的に失効します。

  2. 実質的な「活動実態」 さらに重要なのは、単に学校に籍があるだけでなく、「留学生としての活動をきちんと行っているか」という点です。著しく出席率が悪かったり、成績が不振であったりする場合、その学生は本来の活動である「学業」を疎かにしていると見なされます。これは、将来の在留期間更新が不許可となる大きな原因であり、その学生が適法に就労できる基盤が揺らいでいる状態と言えます。

この大前提を企業側が確認せずに、既に学校を辞めてしまった元留学生を雇用し続けた場合、企業が「不法就労助長罪」に問われる重大なリスクがあります。


ルール①:時間の管理(週28時間以内と長期休暇の例外)


留学生の資格外活動は、学業を阻害しない範囲という原則に基づき、労働時間に厳格な上限が定められています。

  • 原則「週28時間以内」 この時間は、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての労働時間の合計です。自社での勤務時間が週28時間以内でも、他社での労働時間と合わせて28時間を超えればルール違反となります。 さらに重要なのは、この「週」の考え方です。これは月曜日から日曜日といった固定の曜日で区切るのではなく、「任意の7日間」を切り取っても28時間を超えてはならない、という非常に厳格なルールです。

  • 例外「長期休暇中は週40時間以内」 学校の学則で定められた夏休みや冬休みなどの長期休暇期間中に限り、「1日8時間以内、かつ週40時間以内」まで働くことが認められています。いつからいつまでが長期休暇にあたるかは、必ず本人を通じて学校に確認する必要があります。


ルール②:どうやって「在籍と活動実態」を確認するか?


企業が不法就労助長罪のリスクを回避するためには、採用時だけでなく、雇用期間中も学生の「在籍」と「活動実態」を継続的に確認する仕組みがあると安心です。

  • 確実な方法 3ヶ月や半年に一度など、定期的に「学生証」や「成績証明書」を提出してもらう社内ルールを設けるのが最も確実です。これにより、形式的な在籍と、学業の状況を客観的に確認できます。

  • 日常的な方法 日頃のコミュニケーションも重要です。「最近、学校はどうですか?」「どんな勉強をしていますか?」といった会話の中から、本人がきちんと通学し、学業とアルバイトの両立ができているかを確認します。

  • 実践的な折衷案 普段はコミュニケーションで状況を把握しつつ、もし「最近、授業があるはずの時間帯にいつもシフトに入っている」「学校の話題を避ける」などの不審な点があれば、その都度、学生証や在学証明書などの提出を求めるという運用が現実的で効果的です。


まとめ


留学生アルバイトの雇用は、人手不足の解消に繋がる一方で、企業には相応の管理責任が求められます。

  1. 在留カード裏面の許可を確認する

  2. 労働時間(週28時間・長期休暇の例外)を厳格に管理する

  3. 定期的な在籍確認と日常のコミュニケーションで、学業の実態を把握する

この3点セットを徹底することが、真面目に働く留学生の未来と、企業のコンプライアンスを守るための鍵となります。

【文責:行政書士わかばやし事務所 代表 若林 しずか】

 
 

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